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日曜の午後、木曜の夕方

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『橋下徹 改革者か壊し屋か -大阪都構想の行方-』(吉富有治,2011) を読んだ

数年前に圧倒的な支持を受けて大阪府知事になった橋下徹の政策やキャラクターから、「今後大阪はどうなるの」という声に応えようとしている本です。

 

この前に読んだ『さっさと不況を終わらせろ』と絡めてこの本を読んでみると、大阪市大阪府を合併して大阪都にするところまではメリットがありそうだけど、関西州にまで規模を拡大して、国レベルの地方自治体にまでなると心配な点がいくつかあるなと思ったので指摘してみる。

 

 

まず橋下さんがさんざん言っている二重行政の解消による、無駄の排除については賛成できる。地方自治体は中央銀行を持たず、財政政策を行えないから、インフレを起こして債務を縮小することが出来ない。したがってどうしても支出を減らして赤字を縮小するという発想になってくる。それなのに仲の悪い大阪市大阪府が、意地を張り合って二重行政をしていたら、公務員にコスト意識がないと批判されてもしょうがない。

具体的には、事業を民間に委託するのが一番手っ取り早い方法なのかなと思う。水道やごみ処理のようなインフラ事業は、安定収入を望む民間企業にとって魅力あるものだろう。こうした民間業務委託のことをPFIというらしいので覚えておきたい。

 

では大阪都が成功したとして、そのまま関西州の成功につながるのか?それは関西州にどこまでの権限を与えるかのよる。もし政策面で国レベルの権限が与えられたとしたら、EUにおけるギリシャやスペインのようになってしまうのではないかと考えてしまう。

円を発行している中央銀行は日本政府のもとにあるが、EUでドイツの発言力が大きいように、おそらく関東州の発言力が大きくなって、関西州の思い通りにならない可能性が大きい。そうなると財政危機に陥ったときに支出をカットせざるを得ず、ケインズ的な「資金供給を増やして景気を循環させる」政策が出来なくなる。その結果はEU危機であり、失われた20年の再来になるのではないか。

 

要するに東京一極集中が進んでいるいま、道州制を導入するとその集中を加速させてしまうということ。地方を元気にしようとする活動が盛んだけれども、その勢いに任せて地方を独立させたらえらいことになる気がする。

 

橋下徹 改革者か壊し屋か―大阪都構想のゆくえ (中公新書ラクレ)

橋下徹 改革者か壊し屋か―大阪都構想のゆくえ (中公新書ラクレ)